 | 楽園の泉 アーサー・C. クラーク Arthur C. Clarke 山高 昭 早川書房 2006-01 by G-Tools |
読まにゃならんリストには昔から入っていたのだが，新版が平積みされていたのでこの機会に買ってみた。
たいへんスペクタキュラーな小説。太古の王と庭園，引退した偉人であるところの語り部（傍観者），偉業をなしとげたばかりでさらなる高みをめざす工学者。それに彩りを加える寺院の司祭，やり手女性ジャーナリスト，それに宇宙からの訪問者。これだけ盛りだくさんでなお詰め込みすぎと感じさせないのが素晴らしい。
しかしなんといっても燃えたのは「星を継ぐもの」と同様，未曾有のプロジェクトの成功に向けて自信を持って歩みを進める中年の姿だった。生活感が微塵もないのがさらにイカス。小川一水の「第六大陸」「復活の地」がとてもよかったけどいまいち高揚感に欠けたのは主人公が若すぎたからだなきっと。
