セレニカ~グラントリ (UCI/2.HC)

最難関となるクイーンステージはブロークンランド

「群青の空を越えて」まとめ

圭子ルートは最終的に社とヒロインが「ゆずれないものがあるよね」で納得するあたりが加奈子ルートと重複するのでとくに語るべきことはありません。

さて,きっとあちこちのブログだとかあるいは公式ムックにも書いてあるのでしょうが,なんだって「群青の空を越えて」がこんな作品になってしまったのか。
「戦闘機パイロットが主人公」「舞台は日本」「内乱のまっただなか」「テーマは父を超えること」とまあこのへんまでならそこそこまとまりそうな気がするわけです。ところが「父親は開戦のきっかけを作った人物」「その父を超えるには戦争を終わらせなければならない」ときたあたりで,なにせ主人公は一介のパイロットなわけですから,話が長くなるのは確定です。結果的にですが1ルート5時間くらいとして(ボイスを真面目に聴くともうちょっと長いかもしれませんが)30時間。これをどうやって売るか。

ぱっと思いつくのはヒロインを3人ぐらいにしぼって30時間×3ルートにする方法。でも3ルートの内容をがらっと変えようとするとスケール的にかなり厳しいでしょうし,そもそも戦争という状況を舞台にしているからにはリアリティというものが重要視されるのは間違いないわけですから,そうそう毎回バラエティに富んだ展開にはできません。魔法とか奇跡には頼れないのです。さりとて30時間中25時間を共通ルートで…なんていったら間違いなくクソゲー認定です。

で,ここで「いいじゃん30時間一本勝負で行こうよ」といって成功したのがマブラヴなんですよね(あちらは60時間くらいありますけど)。正直,この「群青の空を越えて」に関してもそれはアリだったかも,と思います。ただプロデューサーにしてみればなかなかそんなギャンブルには踏み切れないでしょうし,なんとか典型的なエロゲーの枠にはめて広くみなさまに遊んでいただこうと考えるのはそうおかしなことではありません。

それでどうしたか。まず「1つのシナリオを短くするかわりに1回では全てを見せない」ようにしました。まあこれもよくある作りというかエロゲーの醍醐味は「何度も繰り返すうちに全容が見えてくる」にあるわけですから悪くない判断です。ただそれでは5時間でいちパイロットの主人公が戦争を終わらせなくてはいけなくなります。無理です。ではどうしたか。「1シナリオあたりの成長幅を最初は小さく,シナリオを追うごとに大きくしていった」のです。若菜・美樹ルートの社と夕紀・圭子さらにはGRANDルートでの社はあきらかに成長速度が違いますよね?「1ルート30時間は長すぎる」「でも5時間で主人公が親父を超えるのは無理がある」という難題をクリアするにはなかなかうまい手ではないでしょうか。

もちろんその弊害は言うまでもなく,最初の2ルートほどは「なにが起こっているのかさっぱりわからん」「カタルシス足りない」「主人公の意図も意味不明」となることです。正直,加奈子ルートがあそこまで派手な(=人がたくさん死ぬ)構成になっていなかったらあそこで中断していました。結果的には最後まで楽しめたので,よくできたゲームだったのかなあと。

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