セレニカ~グラントリ (UCI/2.HC)

最難関となるクイーンステージはブロークンランド

「群青の空を越えて」加奈子ED

…すごかった。いやいや,まさか加奈子ルートがトゥルーだとは予想してませんでした。パッケージ詐欺じゃないのかこれ。

なんだかものすごくボリュームがあったような気がしたのですが,セーブデータからするとそんなでもないんですよね。以前の二人が5時間くらいで,このルートが6時間くらいでした。なんでしょう,他ルートにくらべると開戦後の時間配分が大きかったのでしょうか。おかげで展開が唐突に思えることもほとんどなく,「納得感」の大きいお話でした。
流れとしても王道で,「加奈子のそばにいたい,死にたくない」→「でもパイロットでなくなったら見放されるのでは」→「だけど死にたくない」→(イベント)→「きみのためなら死ねる(゚∀゚)ラヴィ!!」というスパイラルと「諒お兄ちゃんの仇をとりたい」→「でもこっちのお兄ちゃんを失いたくない」→「ていうかもうお兄ちゃんって感じじゃ…」→(イベント)→「これでひと安心ね」→「と思ったらわたしの気持ちぜんぜんわかってないし!」→「諒お兄ちゃんが戦ってた理由がわかった」→「でも死にたくないもの本当だし」というスパイラルがいい感じでぐるぐると収束していくさまは見事でした。

サブキャラもみなさんたいへん見事な活躍をしてくれまして,一発やらせろと若菜に頼む達也を見たときは思わず拍手したくなりましたし,やけになるなと説得する若菜も胸熱でした(「誰かがそう言ってくれればあの子だって生きて帰ってきたかもしれないのに」「(死ねと命令するのは私なのよ…!)」「正義なんてどうでもいい。関西軍は正しくないし自分も正しくない」)。開戦後しばらくたってやさぐれた俊治(「先輩は自分だけ安全な場所にいて罪悪感があるから死を美化したいんです」),報酬前払いを要求する忠則,いいタイミングで現れて社が考えをまとめるのを手伝ってくれる夕紀さん(「直接守れるとは思っていない。けど俺が戦ってる分誰かがあいつを守ってくれるかもしれないと信じて戦う以外にない」),まさかの一枚絵まであった香坂二曹(聡美もか),みんなしっかり存在感を示してくれたような気がします。教官が微妙に影が薄かったことだけがちょっと残念です。

それにしても人がたくさん死にます。それにいちいち衝撃を受けたり感動したりしてる自分もたいがい安っぽい人間なのですが…。正直,加奈子も射撃訓練を始めたあたりでこれは死亡フラグ立ったなーと思っていました。ただ,もしそうなっていたとしても,それをうけて主人公が決意を新たにするだとかそういう展開はまったく期待できそうにないというかやってしまうとすごく嘘っぽくなったでしょうし,どっちみち嘘っぽいならこのエンディングのほうが救いがあっていいのかもしれないです。

とにかく,3シナリオのなかではこれがいちばん戦争を丹念に描いています。ただそれでもやっぱり登場人物(とくに社)に100%共感しきれないのは,荻野憲二の唱える円経済圏構想の具体的な説明と,それからその構想や萩野憲二自身に対するこだわりが生まれ補強されていくエピソード,このふたつがなかったからですね。前者についてはメーカーサイトで設定資料が公開されていますが,これはシナリオ中できちんと説明しておくべきものでしょう。達也がどこかでほんとうに命をかけるに値する理想なのかよとか切れてましたが,いやもうプレイヤーもまったく同感でしたよ。

さて感想サイトめぐりしよう。