大昔に買って(奥付は1994年になってるけどたぶん2002年ぐらいの購入だろう),最初のほうを読んでえらい牧歌的だなあ,と思って放置していたのだが,わりとすることがないのでもう一度読むことに。
ううむ。ちっとも牧歌的なんかではなかった。テーマは,すべてが機械仕掛けになった世界で人はいかにして生きるか,というわりとよく聞くもので,1952年なりによく書けている。アメリカを訪れた王様に対して,案内役の博士が,家事が全自動になっててどうだすごいだろうと自慢するのだが,王様は「それで節約した時間で何をするのですか?」と問う。まあ今でも掃除とか整理整頓はあんまり楽になってないのだが,いろいろ便利にはなったわけで。でも日本人が昔より幸せかっていうとそう思う人は多くないだろう。この本に書いてあるように(そしてみんな知っているように)自分が何かの役に立つと思えることが大事で,それが与えられる世界というのが「楽な」世界なのだ。でも現在の,自分の役割を自分で探さないといけない世界ってのはハードだなあ,と思う。
しかしこの本も主人公がおっさんだ。たまにはおばはんが主人公の本も読むべきだろうか。ミス・マープルとか検死官シリーズとか?
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