結論
- 25.5cmで216g/片足と超軽量のナチュラル/ベアフット/ミニマル系シューズ
- クッションとサポートは期待しないほうがいい
- 独特のインソールと靴紐によりフィッティングは要注意
- 足に吸い付くような「はいてない」感は異常
- フルマラソンにはおすすめしない
以上,フルマラソン3時間45分のいちランナーが合計80kmちょっと走ってみての意見です。
フィッティング
足を入れて最初に気付くのが,インソールがとてもやわらかいということです。弾力がある,ということではなく,ちょっと力を入れただけでつぶれてしまうくらいのやわらかさです。
さらに,シューレースがよく伸びる素材でできており,こちらは引っ張れば引っ張った分だけ伸びるようなしっかりとした感触です。この2つの組み合わせによって,足入れ感はとてもふわっとしており,足全体が柔らかく包まれるような印象です。が,自分はこのせいでサイズ感がよくわからなくなり,最初のうちは紐を締めすぎてしまいランニング中に足の側面,ちょうどソールから立ち上がる構造材のあたる部分の筋に痛みが出てきました。その後,少しずつ紐をゆるめていって,なんとか痛みの出ないポイントを見つけることができましたが,それまでは「失敗した失敗した失敗した失敗した」とブルーな気分でした。
ソール
写真だとけっこうボリューム・厚みのあるように見えるソールですが,これはサイドの丸みのせいでそう思えるだけで,それほどではありません。が,いわゆる裸足感覚を売りにするシューズほどは薄くなく,砂利道を走っても足裏がゴリゴリするということにはなりませんし,着地時に足裏が「びたーん」となる感じもありません。
なので,クッション性を評するのであれば「厚みのわりには乏しい」といったところでしょうか。自分は中3日で5分/kmちょっとのペースの20km走を2本やったところ,2本目で足裏の踏み切り部,人差し指のMP関節を痛めてしまいました。いちおうNew Balance M730で12kmぐらいまでは日常的に走れていたのですが,ちょっとがんばりすぎたようです。
かかとの部分もきわめて絞りこまれた形状をしていて,かかと着地をするとよっぽどうまく体重をまっすぐかけない限りふらつきます。というかそのせいでミッドフット着地を強制するような仕掛けになっているのではないかと。足先で着地してかかとは軽く地面に押し付ける程度,という走り方をしていれば,かかとの細さはあまり気になりません。ランニングを始めたばかりで,どちらかというとかかと着地,かつ倒れこみの激しい方には向いていないシューズです。
アッパー
タン(ベロ)の部分はちょっと厚めのしっかりした生地でできているのが普通ですが,このシューズでは独特の薄いシリコン状の素材が使われています。で,このタンが,足を入れるとだいたいシワがよるので直すのがめんどくさいです。それから,とうぜん通気性はゼロでしょうから,夏場はけっこう厳しいのではないかと。
この素材,タンだけではなく,アッパーの補強材として裏側のあちこちにこっそり(というかデザインとしてすっきりさせるためなんでしょうが)配置されています。柔軟性は高いので足があたって痛いということはないのですが,風通しは悪いですので長い距離を走るとマメができやすくなったりするかもしれません。
ウィンドラスシャーシ(笑)エクスパンションポッド(笑)
まあ広告で言うほど大したものではありません。が,やはり他のシューズに比べると,着地・踏み切り時にシューズの中で足が動く感じがまったくしないといってよく,まるで裸足で走っているかのような一体感が味わえます。M730ですと,「薄くてよくフィットするなにかが足を覆っている」感がまだあるのですが,とくに足裏の感触についてはMobiumのほうが気持ちいいです。おそらく,構造だけでなく上述のインソールや靴紐によるフィッティングの影響もあるのでしょうが,これはなかなかおもしろいなあと。