セレニカ~グラントリ (UCI/2.HC)

最難関となるクイーンステージはブロークンランド

『オーバードライブ』涙なしには観られない感動超大作

そろそろ行っとかないと終わりそうかなってことで観てきました。英語表記だと『OVER DRIVE』ってあいだに空白が入るんですよね。
ええとですね、これはあれですよ、去年観た香港製自転車ロードレース映画『疾風スプリンター』、あのノリです。いやさすがにあそこまで濃くはないんですけど、兄弟が同じ女性に惚れてて悲劇の裏にはみたいな設定を臆面もなく採用して、エモい音楽がどどーんと流れるエモいシーンを適当につなげつつその合間に超スタイリッシュなレースシーンが挟まるという、おいおいよく日本でこんなシナリオに金を出してくれる人を集めたなあという。
でですね、鑑賞中は涙が止まらなかったんですけど、なんでかというと、レースシーンが超かっこいいんですよ。もうね、ラリーが日本で5本の指に入るぐらいの人気スポーツで、ものすごい資本と人員が投入されていて、サービスパークでは自転車スタントショーとかやってて、山奥だろうが都心だろうがどんどん公道を封鎖して、そこにファンが大挙して押し寄せてそこらじゅうにテントを張って2泊3日で観戦してたりするわけですよ。こんなん見せられて涙せずにいられますかっての。まさにラリーファンの理想、絶対に叶うことのない夢の世界なわけです。あれならまだサメが空を飛ぶほうが実現の可能性が高い。いやー、首都高とかふだんから走ってる人には感涙ものだったんじゃないですかね。まあたまにCGが勢い余ってありえないスピードでコーナーリングとかしてましたけど、いいよいいよぜんぶ許す、ってなってました。何様だ。
で、モータースポーツってふつうは冠スポンサー名がそのままチーム名になるんですけど、この映画だと運営母体の名前がチーム名になってたりして、わりと小物っぽい、というとあれですけど、ローカルなチームの一体感みたいなものが漂っていてこれはこれでよかったです。あとふだんぜんぜんテレビを観ないので、「あーお兄さんはなんかNHKの朝ドラに出てたよね」ぐらいの認識しかなかったんですけど、弟さんがえらいガタイがよくておまけに流暢な英語をしゃべるのにびっくりして、調べてみたら千葉真一の息子でおまけに『パシフィック・リム アップライジング』にも出てたってことで腰をぬかしております。ヒロイン役の森川葵さんも、ステレオタイプなキャラをやりすぎず丁寧に演じていて好感が持てました。あとはあれですね、クライマックスのイベントが近年のラリーファンならみなさんご存知の…ていうだけでネタバレになりそうだな。まあバレて困るようなネタでもないんですけど、あーこれは映画でやりたくなるよねえ、という。
まあとにかくモータースポーツを題材にしてこんだけ製作費がとかーんと豪華に注ぎ込まれた日本映画はあとにも先にもないんではないかと思います。モータースポーツの理想郷と化した日本をぜひスクリーンで目に焼き付けてください。