セレニカ~グラントリ (UCI/2.HC)

最難関となるクイーンステージはブロークンランド

「きみの声を届けたい」80点の良作

評判が悪くなかったので観てきました。

全体としてはきわめて丁寧に作ってあります。キャラクターはちゃんと立っているしそれぞれ見せ場もあるし演技も文句のつけようがないです。テーマも難しくないし音楽も効果的,画面に目新しさはないですが演出は手堅いです。上映時間は93分らしいのですがプラス15分間ぶんぐらいの充実度はあります。ここまでで80点。

で,ラストシーンでプラス20点,合計100てーん,と言いたいところなのですがそうはいかないのですよね。
どこが気に入らないかというと主人公のなぎさが勝手にラジオ放送をしてしまうところ。あれをやらないと始まらない話なんでまあやっちゃうのはしょうがないんですけど,もうちょっと動機づけがほしくないですかさすがに。猫が大事なものをくわえて喫茶店に逃げ込んだ,とかなぎさが実は深夜ラジオの常連投稿者だったとか,そういうレベルでも「カエルを追っかけて」よりはマシじゃないかなあと。善良な高校生が閉業した喫茶店に勝手に入って勝手にレコードかけて勝手に機材をONにしてしゃべっちゃうというのはやっぱりそれなりに理由が必要ではないでしょうか。それに紫音さんがたまたま聴いていたというのもね…。

あと,なぎさが最初からえらい勢いで紫音に肩入れしたりいきなり泣き出したりするの,ぼけっと見てるとただの痛い子なんですけど,あれって実は「昔なぎさが母親にひどい言葉を投げつけてしまって直後に母親が亡くなった」的なエピソードがあったんですよね? 違います? そういう事件でもないとなぎさが紫音に「お母さん生きてんじゃんあきらめんなよ!」的なことを言ったりあそこまで「コトダマ」とやらにこだわったりするのが不自然でしょう。おばあちゃんのワンエピソードではさすがに弱い。なぎさが母親を「みつえさん」と呼ぶのは実の母親じゃないからですよね? そのへんを確かめたかったのですが残念ながら劇場パンフレットは売り切れでした。上映作品は山ほどあるのになぜかこの作品だけ。

細かいところだとタイトルが表示されるまでのシーケンスで「なんでこんなどうってことのないシーンにおおげさな音楽をつけて盛り上がるんだ…?」と思ってしまったりなんかもしましたが,まあふつうはそういうことを考えながら観ないですよね。はい,おすすめです。

打ち上げ花火はどうしようかなあ…。