セレニカ~グラントリ (UCI/2.HC)

最難関となるクイーンステージはブロークンランド

で実際のところ自転車ってどんだけ壊れるの?

突然自転車が壊れる。そんな事例が続発している。運転中にハンドルが折れたり、あるいはタイヤが外れたり……。
(中略)
NITEによると、20年度から24年度までの5年間に報告を受けた自転車の交通事故以外の事故件数は実に493件に上る。そのうち自転車の欠陥による事故は162件で全体の32・9%を占めた。

Expired

この手の煽り記事は定期的に話題に上がってきますが,実際のところ自転車の(交通事故以外の)事故って増えてるの減ってるの? というのが気になったので,NITEのデータベースを検索して集計してみました。

検索条件は,「品目に『乗物』を含む」AND「品名に『自転車』を含む」です。
事故原因は下記の表のように分類されています。

ここではA,B,Dを「製品・業者起因」,C,E,Fを「誤使用・劣化」と分類してグラフにしてみました。

事故件数は2010年度にピークを迎えていますが,その後件数は減っていき,2015年度では2005年度あたりと同程度に落ちついています。国内向け出荷量のデータも併せてプロットしてみましたが,なにがしかの相関関係はあるように見えます。
ちなみに2004年度だけ件数が爆発しているのはパナソニック(当時はナショナル自転車)がチタンフレームの不具合を大量に報告したせいです。

同様に2005年度にはミヤタがハンドルロックの不具合に関連する事故を15件ほど報告しています。

じゃあ事故のうち製品に問題があったのはどれくらいの割合なのかといいますと。

2004・2005年度は特殊な事情があったので,これを除くと「製品・業者起因」と「誤使用・劣化」の割合はそれほど変化がないと言ってしまってもいいように思えます。産経さんの論調にもあるように一時期「中国製の自転車が大量に出回って大惨事!」みたいに言われていましたが,数字としては特に目立っていないなあという印象です。

で,よしビアンキとドッペルギャンガーが危ないんだな伝統ある日本メーカーの自転車を買っとけばいいのか,みたいなブコメもあったりしますが,事故データベースを見れば上記のパナソニック,ミヤタだけでなくブリヂストンヤマハも(電動アシストですね)たくさん出てきますし,トレックやジャイアントなんという「一流」メーカーだって報告が上がっています。ということで我々にできるのは,漫然と自転車に乗るのではなく,日々感覚を研ぎ澄まして自転車から体に伝わる感触に敏感になり,異常をいち早く感じ取って対応するという姿勢でいることではないでしょうか(雑なまとめ)。