セレニカ~グラントリ (UCI/2.HC)

最難関となるクイーンステージはブロークンランド

いまさらとらドラ! とチャリオンの影

とらドラ! 6 (6) (電撃文庫 た 20-9)とらドラ! 6 (6) (電撃文庫 た 20-9)
竹宮 ゆゆこ

メディアワークス 2007-12-10
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本屋で見かけたときは「いかにもイマドキっぽい狙った作品なんだろなー」と敬遠していたのですが,id:repon:20080509を読んで食わず嫌いはいかんなと買ってみました。

やばい。超燃えてきた。1巻,2巻あたりはそれでも「わかりやすいキャラだねー,そつなくできてんねー」くらいだったのですが,3巻あたりからキャラクターたちがどうにも一筋縄ではいかない連中だというのが身にしみてきて。そして4巻,5巻と緊張感がじわじわ高まってきたところで6巻のクライマックス! 亜美と実乃梨の描写が進むにつれて,ヒロインのはずの大河の魅力が相対的に薄れてきたのではと思わせたところでの締めの一撃でした。鉄人定食に匹敵…はさすがにしませんけど,木刀片手の大河の絶叫は実に心に沁みる。あそこは「あきほには,ぜったいまけない」「上等ぉっ!!」のやりとりを彷彿とさせますねー。北村はあのあと東工大からIHIに進んで大企業ならではのもどかしさに悶々としているところで地方の町工場の社長の心意気に感じ入ってそこに転がり込んで苦節6年でものすごい部品を開発してNASAへの売り込みに成功して会長と再会すると見たね。

チャリオンの影 上 (創元推理文庫)チャリオンの影 上 (創元推理文庫)
ロイス・マクマスター・ビジョルド 鍛治 靖子

東京創元社 2007-01-30
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こちらはid:kaien:20080325の紹介にぐっときて。ドラゴンランスやリフトウォーのようなキャラクターてんこもり作品もけっこう好きなのですが,この「チャリオンの影」やファファード&グレイ・マウザーのように,主人公がじゅうぶん魅力的ならば,少ない登場人物でもおおいに楽しめます。カザリルのいいところは,最初っから最後まで一本スジが通っているところですね。苦悩して傷ついてもべつだん成長するわけでもなく頑固に信念のまま動き続ける。うーん,なんでしょうね,歳をとるとそういうキャラクターが憧れの対象になってきます。「楽園の泉」「星を継ぐもの」の主人公とかね。大学生のころはタニスのヘタレっぷりにおおいに共感したものですが,30をこえていいかげん自己評価も定まってきたいまとなっては「…若いなあ」ですまされてしまいます。ううむ。

#でもなぜかエターナル・チャンピオン系には心惹かれないのですよね。あっちもスジは通っているはずなのですが…
#基本的にみな受身というかやられっぱなしだからかしらん?

あと,これを読んでいて実感したのですが,僕にとってはほどよいエロスというのが,キャラクターの実在感を大いに高めてくれるフィーチャーなのですよね。水浴び(着衣なんだけど!)のシーンのカザリルの情けなさがなんかもう他人事とは思えないというか。ザンスにのめりこんだときも,そういうエロティックな部分が魅力のひとつに感じられていたような覚えがあります。ムアコックはそのへんがいまいちなのかもなー。

続編「影の棲む城」も文句なしのできでした。